私たち夫婦と3匹の愛犬—麦、空、そして幸—と過ごす日々は、賑やかで笑顔に満ちた日常でした。幸は8歳で家族として迎えた特別な保護犬で、最初は少し警戒していたものの、次第に心を開き、優しく愛情深い犬へと成長しました。麦と空と一緒に遊んだり、日向ぼっこをしたりする幸を見守るたびに、私たちは幸せを感じていました。

しかし、幸せな日常は突然、予期しない出来事によって壊れてしまいました。
その日は、何の変わりもない普通の一日でした。麦や空と一緒に元気に過ごしていた幸が、突然咳をし始めました。最初は軽い咳だと思っていましたが、その咳が次第にひどくなり、幸はぐったりと横たわり、呼吸が荒くなりました。特に、舌が紫色に変わっているのを見たとき、私たちはすぐに異常を感じました。酸素不足を示すチアノーゼのサインでした。
急いでかかりつけの病院に電話しましたが、日曜日だったため連絡が取れず、私たちは冷静に対処しながらも、必死で別の動物病院を探し始めました。
幸を急いで車に乗せて、滋賀県守山にある「しっぽ動物病院」へ向かいました。心配でたまらなかったものの、幸の状態が悪化しないよう祈りながら運転を続けました。病院に到着すると、すぐに幸は酸素室に入れられ、緊急処置が施されました。私たちは待機室でただ祈るばかりでした。
検査の結果、幸は「僧帽弁閉鎖不全症」という心臓の病気を患っていることが分かりました。この病気は、心臓の僧帽弁がうまく閉じず、血液が逆流することで心臓に負担がかかり、最終的には心不全を引き起こします。進行性の病気で、放置すれば命に関わることもあります。

幸は心臓の機能が低下し、その影響で肺水腫を引き起こしていました。獣医師からは「治療が遅れると命に関わる」と告げられ、さらに「長くは持たないかもしれません」とも言われました。その言葉を聞いた瞬間、私たちはただただ信じられませんでした。幸との日々がまだまだ続くものだと思っていたのに、その時間が終わってしまうかもしれないという現実が、心を重くしました。
長い入院を覚悟していた5日目、病院から数値が回復したので退院出来という嬉しい連絡があり、急いで迎えにしきました。
不安は沢山ありますが、幸が家に帰ってきてくれて本当に嬉しかったです。
その後、幸の回復を助けるために、自宅でも酸素療法を続けることになり、酸素室をレンタルしました。酸素室は、幸の呼吸を助け、少しでも心臓への負担を軽減するための重要なツールでした。酸素療法を続けることで、幸は徐々に体力を取り戻し始めましたが、それでも病気の進行を完全に止めることはできませんでした。


獣医師からは、今後手術を含む治療を受ける必要があると言われました。しかし、僧帽弁閉鎖不全症の手術は非常に難しく、リスクも高いものであることがわかりました。手術が成功すれば、幸の生活の質は大きく改善される可能性がありますが、手術に伴うリスクを考えると、私たちは決断を下すのがとても怖く、悩んでいます。
それでも、幸は私たちが思っていた以上に強い犬でした。酸素室での療養と薬の投与を受けながら、幸は少しずつ回復の兆しを見せ始めました。あんなにぐったりしていた幸が、元気を取り戻し、私たちが顔を見たときに尾を振ってくれた瞬間、心から安堵しました。



今後はかかりつけの病院で投薬治療を受け、状態を見ながら外科手術も考えていく予定です。完全に安心はできませんが、幸がここまで頑張ってくれたことに、私たちは本当に感謝しています。
この経験を通して、何気ない日常がどれほど大切であるかを改めて実感しました。毎日の散歩や食事、遊びの時間—それらはどれも当たり前のように感じていたけれど、実はどれもがかけがえのない瞬間であることを思い知らされました。
幸が元気を取り戻してくれたことに感謝しつつ、これからも家族として過ごす時間を大切にしていきます。何気ない日常が、一番の幸せだと感じた瞬間でした。幸、これからもずっと一緒に歩んでいこうね。

最後に、幸の回復を見守ってくださった先生・スタッフの皆さん、そして励ましの言葉をくださった皆様に心から感謝の気持ちを伝えたいと思います。ありがとうございます。